愛犬家、愛猫家の皆さんは、我が家の子に与えているフードの量が本当に適正なのか、心配になることがありませんか。購入したフードの説明書を読み、実際の食いつきを見て判断している方が多いと思います。フードを与えるときは、その子の体重・生活環境・運動量・年齢、今その子が療養中なのか元気なのか、その子のライフステージにもよって与える量は変わるという認識を持ってください。今回は、その子にあった1日に与えるフード量の計算方法を学びましょう。関数計算のできる(√が使える)電卓をお手元にご準備ください。さあ始めましょう。
目次
1 RER と DER というと難しく感じますが・・
その子の1日に必要なごはんの量を計算するには、まずRERとDERを計算しなければなりません。ここで学びを止める方もいらっしゃいますがめげないで進みましょう。
RER(Rest Energy Requirement)は、正常な動物が常温環境で安静にしているときの1日に必要なエネルギー要求量です。
DER(Daily Energy Requirement)は、その子の体重・生活環境・運動量・年齢、療養中か否か、など、その子の今の状態における1日に必要なエネルギー要求量です。
体重によってRERが計算できれば、その子の今の状態のDERが計算できます、そういう関係です。
2 RER(安静時における1日に必要なカロリー)の計算式
RER =(体重Kg)の0.75乗 × 70
上記の計算は、電卓を使って以下の順番で電卓のキー操作を行うと求めることもできます。
体重(Kg) × 体重(Kg) × 体重(Kg) = √ √ × 70=
計算式が間違っていると思ってしまう方はここでつまづきます。まずは上記の通りに電卓のキーを押してください。
体重3キロの子犬なら、3×3×3=√√×70= と順番にキーを押します。答えは159.56と表示されるはずです。
数学のことは忘れて単純な作業として進めてください。
3 DER(その子の今の状態における必要なカロリー)の計算式
DER = RER × 活動係数
その子の体重・生活環境・運動量・年齢、療養中か健康かなど、その子の今の状態は変化していくので、それを考慮するのが活動係数です。その子の状態から活動係数を変えればDERも変動します。活動係数は以下の表を参考に当てはめてください。当てはめる係数は1つのみです。複数が想定され迷う場合もありますが、片方に定めた後、その子の体重や食いつきの変化を見て変えてくだい。
4 ペットフードの1日給餌量を計算
DERが計算できたら、与えているペットフードのその子に対する適正な量も計算できます。
与えているペットフードのラベル(表示)から「代謝エネルギー ○○kcal/100g」を探しましょう。それがわかれば計算に進めます。
1日あたりのフード量 = DER ÷ 100gあたりのカロリー数 × 100
ただし、これは1日あたりのフード量ですから、1日に何回与えているかによって1回のフード量は変わります。例えば、1日2回のごはんなら「1日あたりのフード量÷2」、1日3回のごはんなら「1日あたりのフード量÷3」のように、1日のフード量を、与える回数分で割れば1回にあたりに与えるフード量が計算できます。
5 実際に計算をしてみましょう
2ヶ月令で3Kgの雑種の子犬に、代謝エネルギー400kcal/100gの子犬用フードを1日2回食べさせたい場合、適量は以下の通りに計算できます。
①RERを求める
関数電卓を用いて、以下のように計算します。
3(kg) × 3(kg) × 3(kg) = √ √ × 70 = 159.56
②DERを求める
前述のようにDERは個体により活動係数が異なります。今回の子犬ですと「子犬 離乳期~3ヶ月」に当てはまり
ますので、活動係数は「3」になります。
159.56×3 =478.68≒ 479kcal この子犬のDERは、479kcal です。
③1日あたりのペットフードの量を計算する
②で求めたDERとペットフードの代謝エネルギー(今回は400kcal/100g)を用いて、与える1日分のフード量を
計算すると479kcal ÷ 400kcal × 100 = 119.75≒120、これで1日に与えるフード量は120gだと計算できました!
④1回あたりのペットフードの量を計算する
1日に2回与えているとき1回に与えるペットフードの量は 120g ÷ 2 = 60 gとなり、1回60gを1日2回与えれば
栄養状態を維持できると言う計算になります。
まとめ
今回学んだことで、フードが足りているのか不安な方は、その子のステージから活動係数を選択し論理的な計算ができるようになりましたね。意外と違っていることもあります。ただし、成犬で体重、被毛や肉付き等のコンディションの変化もなく良い状況なら、今与えている量で観察していきましょう。また、増やす必要を感じた際も一度に増やすことは胃腸への負担やストレスになる場合もありますので、様子を見ながら少しずつ増減して行きましょう。
コメント