目次
1 第一種動物取扱業者が守るべき基準(概要)
- 第一種動物取扱業者には、動物の管理の方法、飼養施設の規模や構造などの基準を守ることが義務づけられています。
- 犬及び猫については、それぞれ具体的な数値を含む飼養管理基準が定められています。
『動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~』
項目 | 基準の内容 |
飼養施設等の構造や規模等に関する事項 | ■個々の動物に適切な広さや空間の確保 ■給水・給餌器具や遊具など必要な設備の配備 |
飼養施設等の維持管理等に関する事項 | ■1日1回以上の清掃の実施 ■動物の逸走防止 |
動物の管理方法等に関する事項 | ■幼齢動物の販売等の制限 ■動物の状態の事前確認 ■購入者に対する現物確認・対面説明 ■適切な飼養または保管 ■広告の表示規制 ■関係法令に違反した取引の制限 |
全般的事項 | ■標識や名札(識別票)の掲示 ■動物取扱責任者の配置 |
犬猫等販売業に関する上乗せ基準 | ■犬猫等健康安全計画の策定と遵守 ■獣医師との連携の確保 ■販売の困難な犬猫についての終生飼養の確保 ■56日齢以下の販売制限 |
2 標識の掲示、広告
- 事業所の見やすい場所に、次の8項目を記載した標識を掲示してください。
『第一種動物取扱業登録証』を標識として掲示することも可能です。 - 事業所以外の場所で営業する場合、顧客と接する職員は標識のうち1~7を記載した識別証(名札)を顧客に見える位置に掲示してください(名札を胸に着ける、首から下げるなど)。
- 広告(ホームページ等を含む)を行う場合、標識の8項目を記載しなければなりません。
顧客への掲示 | 記載事項 |
標識 【Word】【PDF】 | 1 氏名(法人の場合は名称) 2 事業所の名称 3 事業所の所在地 4 第一種動物取扱業の種別 5 登録番号 6 登録年月日 7 有効期間の末日 8 動物取扱責任者の氏名 |
識別証 【Word】【PDF】 | 標識の1~7の項目 |
3 販売時の対面説明
- 動物取扱業の対象となる動物を販売する場合には、あらかじめ、動物を購入しようとする者に対して、事業所において、その動物の現状を直接見せる(現物確認)必要があります。
- 現物確認の際には、その動物の特徴や適切な飼養方法等について対面で文書(電子を含む)を用いて説明(対面説明)することが必要です。
- 説明が必要な項目は、以下の項目です。
1 品種等の名称 2 性成熟時の標準体重、標準体長その他の身体の大きさに係る情報 3 平均寿命その他の飼養期間に係る情報 4 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模 5 適切な給餌及び給水の方法 6 適切な運動及び休養の方法 7 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の首里及びその予防方法 8 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る) 9 前号に掲げるもののほか、みだりな繁殖を制限するための措置 (不妊又は去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く) 10 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容 11 性別の判定結果 12 生年月日※1 13 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る) 14 繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地※2,3 15 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る) 16 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等 17 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況※4 18 1~17に掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項 ※1 輸入された動物で生年月日が明らかでない場合は、推定される生年月日及び輸入年月日等 ※2 輸入された動物で、繁殖を行った者が明らかでない場合は当該動物を輸出した者の氏名又は名称及び所在地 ※3 譲渡された動物で、繁殖を行った者が明らかでない場合は当該動物を譲渡した者の氏名又は名称及び所在地 ※4 哺乳類に属する動物で、かつ、関係者からの聴き取り等によっても知り得ないものを除く |
4 帳簿の作成・保存
- 第一種動物取扱業のうち、動物の販売、貸出、展示、譲受飼養を行う場合は、飼養する個体に関して以下の項目について帳簿に記載し、5年間保存しなければなりません。
■品種等 ■繁殖者名等 ■生年月日 ■所有日等 ■購入先 ■販売・引渡し日 ■販売・引渡し先 ■販売・引渡し先が関係法令に違反していないことの確認状況 ■販売担当者名 ■対面説明等の実施状況等 ■貸出目的・期間等 ■死亡した場合には死亡日 ■死亡原因 |
- また、その他にも記録及び保管が義務づけられている帳簿・記録台帳がありますので、必要な台帳を確認し、適切に記録保管してください。いずれも5年間保存です。
※台帳や帳簿は、項目が満たされていれば別の様式で記録することができます。
※帳簿・記録台帳は電子データでの保存も認められています。
帳簿・記録台帳 | 対象事業者 | 内容 |
動物に関する帳簿 【Excel】【PDF】 【記載例(犬猫)】 【記載例(その他)】 | 販売 貸出 展示 譲受飼養 | ■犬猫は個体ごと ■その他の動物は品種ごと |
取引状況記録台帳 【Excel】【PDF】 ※台帳中の丸囲み数字の項目は『動物に関する帳簿』の丸囲み数字の項目に対応 | 販売 貸出 展示 譲受飼養 | ■動物の仕入れ、販売等の取引状況を記録 ※個体ごとに『動物に関する帳簿』を作成している場合は、それに代えることができます。 ※保管業、訓練業の方も『いつ』『誰の』『どの動物』を扱ったかわかるようにしておきましょう。 |
死亡状況記録台帳 【Excel】【PDF】 ※台帳中の丸囲み数字の項目は『動物に関する帳簿』の丸囲み数字の項目に対応 | 販売 貸出 展示 譲受飼養 | ■飼養している動物の死亡状況を記録 ※個体ごとに『動物に関する帳簿』を作成している場合は、それに代えることができます。 |
飼養施設及び動物の点検状況記録台帳 【Excel】【PDF】 | 飼養施設を有する事業者 | ■飼養施設の管理及び動物の数・状態について1日1回以上巡回を行い、清掃、消毒及び保守点検の実施状況を記録 |
繁殖状況記録台帳 【Word】【PDF】 | 販売 貸出 展示 | ■動物を繁殖させる場合、その実施状況を記録 |
飼養又は保管に従事する職員の勤務形態一覧表 【Excel】【PDF】 | 飼養施設を有し犬猫を取り扱う事業者 | ■従業員の増減や勤務形態の変更時、犬・猫の数が増えるときなどに使用 ※一覧表を元に員数規定の遵守状況を常に確認してください。 |
5 動物販売業者等定期報告届出書
- 販売業、貸出業、展示業、譲受飼養業の方は、毎年度5月30日までに前年度分の以下の項目を届け出なければなりません。
- 年度途中に新規登録を行った場合は、登録日から年度末分を届け出てください。
様式 | 届出項目 |
動物販売業者等定期報告届出書 【Excel】【PDF】 | 1 年度当初の動物の所有数 2 月ごとに新たに所有した動物の数 3 月ごとに販売、引渡し、死亡した動物の数 4 年度末の動物の所有数 5 取り扱った犬猫以外の動物の品種 |
6 健康診断の実施
- 1年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫については、年1回以上、獣医師による健康診断を受けさせ、診断書を5年間保存する必要があります。
- 対象となる業種は、販売業、保管業(1年以上の長期の保管を行う場合)、展示業、貸出業、譲受飼養業です。
- 繁殖に用いる個体については、健康診断の際に雌雄ともに繁殖に関する項目(帝王切開の状況、今後繁殖に用いることができる状態かどうかの判断等)についても診断を受け、繁殖実施状況記録台帳に記録することが義務づけられています。
- 健康診断の項目については、獣医師の診察及び獣医学的な判断に基づき必要な検査等を行ってください。
7 よくあるご質問
標識の掲示は登録証ではないといけないのですか?
本来は、標識の様式を使用してご自身で標識を作成します。
登録証は掲示すべき8項目を満たしているため、登録証を掲示しても差し支えないということです。
SNSにも所定の8項目を記載しなければいけないのですか?
栃木県では、SNSのプロフィール欄への記載を指導しています(自治体による判断が異なる場合があります)。
犬猫以外の動物を取り扱っていますが、動物に関する帳簿を個体ごとに作成するのは問題ないですか?
個体ごとに作成することでも問題ありません。
犬猫の健康診断で実施する項目は決まっていますか?
決まっていません。
犬種や猫種、年齢や既往歴などによって実施する項目は異なると考えますので、かかりつけの獣医師と相談の上、個体ごとに検査項目の判断を受けて健康診断を受診してください。